事例1~3に続いて事例4を解説します。
事例4 玉縁始末の外カーブで玉縁が起き上がってくる
これは外カーブに玉縁をかける際に良くある失敗例です。上記画像の左失敗例はカーブ全体で玉縁がめくれ上がってしまっています。アイロンをかけると一旦は落ち着きますが、次第に戻って来てしまいますので修正した方が賢明です。原因はカーブの寸法とテープの寸法が合っていない事です。下図をご覧ください。
玉縁幅を基準としてカーブの起点から終点までの内寸を白線A、外寸を赤線Bとします。今回作成したものを実測してみたところ、白線Aと赤線Bの差は1.5㎝ありました。外カーブの場合は赤線Bとバイアステープの長さが同寸になっていれば、玉縁が起き上がってくるトラブルを防ぐことが出来ます。ですが実際にミシンがかかるのは白線Aの位置です。つまりはテープを差寸の1.5㎝分いせ込みながら縫い付けなくてはならないという事になります。このイセ分が足りないと、赤線Bの寸法が不足して起き上がってきてしまいます。
このカーブの差寸というのはその都度変わってきますので、実際にこれから縫おうとするアイテムにどれくらいのイセ分量が出るのかを知りたい場合は下図画像を参照してテープを当ててみると感覚がつかみやすいと思います。
まずは玉縁始末をする身頃の上にバイアステープを軽く二つ折りにして当ててみて、マチ針で固定します。この時、テープの折山を伸ばさず身頃の裁ち端と同寸になるように据えて下さい。そうするとテープの裁ち端に浮き分が出てきますので、これがイセ分となります。
せっかくなのでここで合印を付けておきましょう。下図画像のように上側だけテープの端をめくってマチ針を打ち直し、ところどころチャコで合印を入れておきます。
合印を付けたら一旦マチ針を外して下図画像のようにバイアステープを据えなおせばOKです。
ここで気付いた方もいらっしゃると思いますが、下図はただ単にテープの端を伸ばさずに据え付けただけの状態と同じです。感覚の良い方でしたらこのような煩雑な手順を踏む必要はありませんが、まだ不慣れな方に大切なのは「分量の適正値を実際に見て触ってみてその違いを感覚でつかむ」という事であり、二つ折りのテープを据えるという作業は単にその適正値を可視化したに過ぎません。この適正値がつかめれば、合印やマチ針などという工程を飛ばして直接縫い合わせても上手に出来るようになります。
あとは玉縁の出来上がり幅でミシンをかけていくのですが、思いのほかイセ分量が多いので、浮き分をうまく潰しながら縫ってください。難しいと感じる場合は無理せずしつけをかけると綺麗に落ち着きます。
また、中縫いせずに四つ折りタイプのバイアステープを挟み付けする場合は、下図画像のように予めアイロンでカーブの通りにくせ取りをしてから縫い付けると良いと思います。
さいごに
バイアステープはカーブに良く馴染みますが、カーブでの縫製トラブルも多いものです。玉縁始末の外カーブはいせ込む分量が最大のポイントになります。どれくらいの分量をいせながら縫うのかをしっかりとイメージしながら縫い合わせをしましょう。次の事例5では内カーブのポイントを解説します。
コメント