こんにちは。今日の石巻は雪景色でございます。
さて。
タイトル通りなのですが、昨年話題になっていた「ザ・トゥルー・コスト」の上映会が石巻市内にて1日限りにて開催されたので行ってきました。
先にざっくり感想を申しますと、消費者への問題提起として大変興味深い作品だと思いました。私たちには選択するという意思表示の方法があるのだと改めて知る良い機会だと思います。
エシカルという言葉がファッション業界で取り上げられてすでに数年たちますが、この映画はエシカルなファッションのあり方について深く掘り下げた作品です。
この「エシカル」という言葉は、Wikiによれば倫理的・道徳上という大変ざっくりとした意味を持つ言葉でして(^^;)
エコが環境問題に焦点を当てた使い方をされるのに対して、エシカルはエシカルコンシューマリズム=「環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、そうでないものを選択しない」という消費活動(Wiki エシカル)全般を指すので、大きくまとめるとエシカルのくくりの中にエコも含めてよいのかと思います。
オーガニック素材を使用するなんて言うのはエシカルの考え方の一部に入るわけですね。
と、ここまで書いて思い出しました。
震災後すぐに、navyは洋裁教室をやめたので東京の小さなアトリエと契約してパターンをひいていたのですが。
そこのオーナーが「今、時代はエシカルよっっ」としきりに言ってました。
完全にどこぞのファッションライターやらエディターやらの受け売りで、完全にオーガニックと勘違いしているようでした(^^;)
彼女はそれをトレンドの一つとしてとらえていたわけですね。
そんな短絡的な物の見方をする彼女のアトリエがその後どうなったかはご想像にお任せします(笑)
あっと、脱線脱線。
この映画の中では、なぜ発展途上国の衣服工場労働者たちは劣悪な生活環境から抜け出せないのか、それは生活していけるだけの正当な賃金がもらえないからだと訴えています。確かにその通りなのです。補助金や寄付金という降ってわいたお金と違って、労働を行って正当な対価を得る。至極まっとうな話です。
それではなぜ?なぜそんなに賃金が低いの?という疑問がわきますね。
そこでやり玉に挙げられるのがいわゆるファストファッションです。商品の回転を早くして薄利多売で利益を上げるシステムはここ20年で劇的に急成長しました。
安売り競争の始まりです。
当然、利益を上げるためには1円でも1銭でも安く原価を抑えることが重要になってきます。そのしわ寄せは立場の弱いところに行くのが世の常なのです。
もちろん、こんなの間違ってる。
ここを改善出来ないかと頑張っている人たちがいるのだという事を知ってもらえる映画です。
機会があればぜひ見てほしいというか、知ってほしいと思います。
そしてここからは余談です。
昨日の上映会で、映画上映の企画に携わった日和キッチンさんが朝ごはんの原価をわかりやすく見せてくれたので私もまねっこして。
皆さんは洋服の製造原価がいくらくらいなのかご存知ですか?
洋服の代金がどういう風に決まるかご存知でしょうか?
ふつう、製造原価が○○円だから利益を○○円乗せた結果として販売価格が決定すると思うじゃないですか。
他の業界はわからないけど、一般に市場に出回っている洋服の多くはまず販売価格ありきなんです。
最初に売値を決める。
例えばワンピースを1万円で売ろう!と決める。
そして卸価格を5千円と決める。だいたいの相場が半値くらい。もちろんこれに限りません。アパレルメーカーというのはもともとが自社で製品を作って小売店に卸売りをするスタイルが主流でした。(←過去形)
そして、その卸値からメーカーの利益分を除いた分が製造原価になるわけです。
だいたい、販売価格の2割前後だと思います。これには生地やら芯やらボタンやらすべての資材を含みます。(←ここだいじ)
つまり、資材に千円かかれば、縫製工賃は1枚あたり千円となるわけですね。千二百円かかれば工賃は八百円で押さえてこようとします。
これが、メイドインジャパン・日本製の現実だと思います。
世界に誇るといわれるニッポンの職人さんでもこれが現実なんですね。
これでは1ロットが数百枚ないと割に合わないですよね。でも洋服が売れない昨今は工場さんでも1ロット15枚とか30枚なんていうのも珍しくないそうです。
いくらプロの職人さんでも、ワンピース1着の裁断から芯貼り・縫製まで30分で完成なんてするわけもないのですから、利益なんて言わずもがな。
私の知っている工場主さんは、従業員が帰った後毎日深夜まで残業してそれでも給料と経費を支払うとほとんど残らないと言っていました。
あのひと、まだ生きてるだろうか?。。。
一時、縫製業界でも工場の倒産や工場主の自殺が相次いだ時期だったからなぁ。
倒産した工場は、残反やらミシン類やらの産業廃棄物であふれているので、それを丸ごと買い取る業者さんも珍しくなく、買い取ったものはそのまま某オークションサイトに流れて行ったりしてます。
私はこの商売システムをハゲタカ商売と呼んでるのですが(笑)
どの業界も、末端のそのまた先にはオイシイ商売があるってことかな。
またしても話題はそれますが、navyには最近疑問に思えてならないことがあるのです。
先ほどの洋服の値段の話の時にも書きましたが、もともとアパレルメーカーは自社で製造した商品を小売店に卸すスタイルが主流だったはずです。
ですが近年は製造小売業(SPA)がとても多い。これはアパレルメーカーに勤務していない私でさえ感じることなので近年のスタンダードな事業展開なのだと思うのです。
SPAというのはメーカーが直販で小売店を展開する、もしくは小売店が商品を自社開発するというスタイルなのですが、気付きましたか?このシステムには卸売りという中間マージンが消えています。
ここで素朴な疑問。中間マージンは何処に?
本当に単純に考えれば、卸売りをせずに直販すればもともと1万円に設定していた商品を5千円で販売しても利益は十分上げられるはずです。
しかし、当然お店を増やしたり製造部門に投資したりというコストがかかってくるのでそんなに単純な話ではないのですが。
それにしてもSPA企業の商品だからと言ってそれほど安いわけでもない。
だからと言って、ここで原価のシステムを見直そうという優しい企業なんてあるわけないのです。
つい先日、どこかの記事で目にしたのですが、ネタ元忘れちゃったので噂話程度にとらえてくださいね。
某有名SPA企業はセール時期になると80%オフが当たり前で、それでも利益が出せるというのです。
乱暴な言い方をすれば、中間マージン省いてなおかつ原価率はこれまでの卸売り時代と変わらない。利益率どんだけ?と思ってしまう(笑)
モノの値段ってなんだろう。
経済の仕組みなんてよくわからないけど、広義で捉えたらこういった産業構造もエシカルに反するということなのかもしれませんね。
話を映画に戻しますが、確か私の遠い記憶では、元々学校教育もままならないような発展途上国では国民が安定した収入を得られるように国を挙げて生産国としての技術教育や法の整備を進め、先進国がその教育や環境設備にも協力してきた経緯があって、企業側としては労働者の生活に充分な賃金を支払ったとしても安価な労働力が手に入り、労働者側や途上国としては外貨獲得できるうえに国民の生活も安定するといういわばwin×winな関係のビジネスだったと記憶しているのです。
だからこそ、海外青年協力隊などでもミシンの技術指導をしたりもしてましたよね。
昨日、とあるイベントのお手伝いに行った時に、海外でミシン指導してたという方のお話を小耳にはさんでふとそんなことを思い出しました。
あのころ希望を胸に現地の人たちに技術指導をしていた方々は現状をどのような思いで見ているのだろう。
複雑ですね。
私はどうしても生産者寄りで物事を見てしまうのですが、同時に消費者でもあります。
私たち消費者が今日から出来ることといえば「選択」することなのでしょう。
但し、選択するには情報が必要なのに情報ほどあてにならない物もありません。
だからこそ、注意深く情報をより分けて選択することが大切なのかもしれませんね。
最後に。
やっぱり、自分で洋服を仕立てるという選択肢はあってもいいよね。と改めて思います。
自分で作った服はやっぱり愛着もわくし大切にするもので、5年以上前に作ったものもまだ現役で着用してます。そして捨てない。デザインに飽きたらアップサイクルすればいいしくたびれたら何かに作り替えればいい。
最終的には裂き編みやパッチワークに使ってもいい。使い込まれて色もあせてくったりした生地たちはいい仕事しますよ(笑)
そうすれば、クローゼットの中がもういらない洋服であふれかえることもなければ捨てる量も減らせてエコにもつながる。
フェアトレードで生産された生地を一般小売してくれたらいのになーなんて思います。
navy的エシカルのススメでした♪
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。長くてゴメンネ(´・ω・`)
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