だいぶ間が開いてしまいましたが、今回は接着芯の実際の貼り方についてです。
本縫い工程と比べて意外とおろそかになりやすいのがこの芯貼り作業なのですが、navyはアイロン工程や芯貼り作業にとても神経を使います。理由は出来上がりの美しさを長く保つためです。せっかく苦労して貼ったのに、1回のお洗濯ではがれてしまっては何の意味もありませんよね。ちょっと面倒ですがきちんとした芯の貼り方をここでマスターしましょう。
準備するもの
- 接着芯と表地
- アイロン
- アイロンマット(足のついていない平置き型のもの)
- ハトロン紙
まず上記のものを準備しますが、注意するのはアイロンマットです。一般的にご家庭で使用されている足の付いたアイロン台は芯貼り作業にはあまり向いていません。理由は下記を読み進めていくとわかります。
お手持ちのアイロン台が向いていないからと言って、新たに購入しなくても大丈夫。座布団や古い毛布などで代用しましょう。何かと便利なアイロンマットの作り方も別の回で解説しますのでそちらも参考にしてみてください。
芯貼り手順
接着芯を貼るときに気を付けたいのが「温度」「圧力」「時間」の3つの要素です。この3つの要素がうまく絡み合わないと、芯がはがれてきたりしてうまく接着できなくなってしまいます。
接着芯はアイロンを使って貼りますが、そもそもアイロンというのは生地のしわを伸ばすためのものですよね。だからワイシャツやハンカチなどにアイロンをかけるときは前後左右にぐいぐいと動かすことが多いと思います。ですが、接着芯を貼るときのアイロンは全く違う動かし方をするということをまず覚えておいてください。以下に貼る工程をまとめました。
- まずはアイロンを中温(140℃~160℃程度)に温めておきます
- アイロンマットの上に裁断した生地を乗せ、地の目が曲がっていないか確認します。
※裁断したパーツがゆがんだまま芯が貼られると、地の目がゆがんだまま固定されてしまいますので注意しましょう。 - 2の生地の上にあらかじめ裁断しておいた接着芯をふわりとのせます。
※接着芯はアイロンの熱で若干縮む習性があります。ピシッと伸ばした状態で貼ると芯地の縮みに合わせて表地まで一緒に縮むことがありますので、芯地と表地の間に空気の層をつくるような気持ちでふわりとのせてください。 - 3の上に更にハトロン紙を乗せます(これを当て紙という)
※これは接着芯からしみだした接着剤(のり)がアイロンにくっつくのを防ぐためのものです。また、接着芯の表裏を間違えて貼ってしまった場合も直接アイロンにべったりとくっつくのを防ぐことが出来ます。家庭洋裁をやる方で、アイロンが汚れるという場合はほとんどが接着芯ののりによるものです。のりはついてすぐにリムーバーをかければ落ちますが、気付かずに放置してしまうともう落ちません。アイロンを長持ちさせるためにも芯貼りの時には当て紙を使用しましょう。 - 当て紙の上からアイロンをかけますが、まずは芯の中心にアイロンをのせてそのまま自分の体重をかけます。ちょっと力を入れるのではなく自分の体重をアイロンにのせてください。この時にアイロンを動かすとゆがんだ状態で芯が固定されてしまうのでアイロンは絶対に動かしません。そのままの状態で10秒ほど待ったらゆっくりとアイロンを離します。
次は最初にかけたアイロンのすぐ隣にアイロンを移動させて、またしても体重を乗せたら同じことを繰り返します。(下図参照)
上図のように最初に中心を接着したら、その直ぐ脇に最初のアイロンに重ねるようにして次のアイロンをかけます。まんべんなく放射状にかけましょう。下図のようにアイロンとアイロンの間に隙間が出来るとそこだけ芯が貼られずに残ってしまいますので、隙間ができないように注意しましょう
さて、アイロンはゴシゴシせずに押し付けるというのはなんとなくわかったかと思いますが、それではなぜ体重をかけなくてはならないのでしょう?
実は、接着芯ののりというのはアイロンの熱で溶かされた上で、適度な時間としっかりとした圧力をかけることによって生地に固定されます。つまり、熱を加えるだけではしっかりと固定できない訳です。
縫製工場では専用のプレス機がありますが一般家庭にそんなものはありませんよね。そうです、自分の体重がプレス機代わりになるんですね。
これでしっかりと芯が貼れました。あとはそっと平らな場所に置いて、しっかりと冷えるまで触らないようにしましょう。まだ温かいうちに触ると、せっかく固定したのりがはがれてしまいます。
ここまで長々とおつきあいくださりありがとうございました。これでひとまず接着芯については一区切りとします。次回は「お手軽アイロンマットの作り方」についてです。
コメント
唐突にすみません!
体重乗せて圧着するとどうしてもアイロンがアイロン台に沈み込もうとします。
どうしたらいいですか?
またどんなアイロン台を使ってますか?
モナさんこんにちは( 〃▽〃)
コメントありがとうございます。
記事を参考にして下さってありがとうございます♪
ご質問のアイロン台についてですが、私はナオモトのバキューム式アイロン台を使用してます。
このアイロン台は吸引力も強くてとても良いのですが、作業エリアが狭いのと何しろ高価なのとであまりおすすめしません(*_*)
ナオモトを購入する前は、アイロンマットを自分で作って使ってました。
アイロンマット作成の記事を参考にしてみて下さい♪→http://navyplus.com/blog/2013/01/17/%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%83%ad%e3%83%b3%e3%83%9e%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%ae%e4%bd%9c%e3%82%8a%e6%96%b9/
わざわざマット状に作らなくても、古いぺたんこになった毛布やバスタオル等を折り畳んでテーブルの上に広げるだけでも大丈夫です。
熱でテーブルが痛まないようにある程度の厚みにすれば問題ありません。
購入するのであれば、オススメは文化学園ショップで販売している簡単に折り畳めるプレスマットが使いやすいです。
https://www.bunka-koubai.com/shop/itemdetail.php?n=900
これは学生時代に購入して、その後20年以上、今でも現役で使ってます。
大変丈夫で収納場所もとらないので使いやすいですよ♪
いろいろ工夫してやってみて下さい(^^)d
それでもまだわからないことがあったら、いつでもまたコメント下さいね♪
素敵な作品が出来上がりますように♪♪
追記です
体重をのせるとアイロンが沈み込むということですが、市販のアイロン台は出来上がった洋服のシワを取る事を目的としているので、アイロン台のクッション性が高いものが多いかと思います。
その方がシワ取りには都合がいいからではないかと思うのですが、芯貼りの時には出来れば台がある程度固い方が使いやすいです。
あと、華奢な足がついているものも、体重をかける芯貼りにはあまり向いてないですね。
ご家庭でソーイングを楽しむ方向けには、テーブルやフローリングの上にあまりフカフカしていないマットを敷いてプレスすると、しっかり体重がかけられるんじゃないかと思います(^^)d
私はあまり気にしたことはありませんが、床材等が傷むのが心配な場合はホームセンターで薄手のベニヤ板のようなものをマットのサイズにカットしてもらい、マットの下に敷くと良いかと思います。
少しでも参考になれば幸いです♪
なるほど!
だから市販のアイロン台はふかふかなんですね!教えて頂いたマットの作り方を参考にしますね!
丁寧なご指導ありがとうございます!
こちらこそ!
参考にして頂ければ嬉しいです(*^-^*)
楽しいソーイングライフを!( ^-^)ノ∠※。.:*:・’°☆
はじめまして。
不器用なのに手芸が好きなnonocaといいます。
過去記事へのコメントで失礼します。
接着芯の貼り方を調べていて、こちらにたどり着きました。
接着芯を型紙サイズに裁断した後に・・・。
仕方なくそのまま貼りましたが、幸い2mm程の縮みで済みました。
生地は30×80cm位で、入園グッズの袋ものなのでそれほど気をつかう物ではありませんが、大変良い勉強になりました!
接着芯を生地に貼ってから裁断する、という流れはそういう訳だったんですね。
私が作るのは、簡単な袋物や適当なお人形の服程度で、
洋裁と呼べるものではありませんが、
そのうち、子供の服を作れたらいいなぁと思っているので、
また勉強をしにおじゃまさせて頂きますね。
とても丁寧に説明して頂いているので、分かりやすいです。
ありがとうございました。
nonocaさん
こんにちは^^
コメントありがとうございます♪
昨日は記事更新で時間無くなってしまってレスが遅くなってしまってすみません
how-to参考にしてもらえてとっても嬉しいです(*^_^*)
袋物なら、2mm程度の縮みは誤差のうち!
私ならまったく気にしませんよ~
だって、お弁当袋がちょっとだけ小さくなってもあんまり支障ないでしょ?(^_-)
洋服の場合は芯を貼ったパーツだけが小さくなると縫い合わせの時に寸法が合わなくなったりしてあんまりよくはないんですが、小物なら大丈夫です。
それよりも、楽しんで制作することの方がずっと大切だと思います^^
少しづつ、洋裁の疑問が解決していくともっと楽しくなるしもっと上達しますよ。
それから、どんなに簡単な袋物もお人形の洋服も、立派な立派な洋裁です。
やらない人はお弁当袋だって自分では作らないものですからね。
そのうち、思い切って洋服にもチャレンジしてみてください^^
意外とすんなり出来ちゃったりします(笑)
わからないことがあったら、どんな些細なことでもいいので聞いて下さいね♪
専門に勉強した人でなければ、何もかもわからなくて当たりまえなんですから。
素敵な入園goodsが出来上がりますように♪(^_-)