玉縁ボタンホールA/普通地向き

玉縁ボタンホール/薄地~中肉向きボタンホール

玉縁ボタンホールの仕立て方もアプローチ方法が色々とあるのですが、二通りの方法を覚えておくとだいたいのアイテムをカバー出来るのではないかと思います。
家庭用ミシンでもボタンホールが縫えるようになった現在ではあまり見かける事は無くなりましたが、ミシンホールとは違った雰囲気でよりフォーマル感の高い仕上がりにすることが出来ます。
また、家庭用ミシンでコートのボタンホールを縫おうとすると、身頃の厚みでうまく縫えなかったりホールの縫い目自体が貧弱で見劣りします。そのような時にも玉縁ボタンホールは有効だと思います。
まずは大前提として、玉縁ホールで始末する場合は「ほつれやすい生地」を使わない方が賢明です。あ、あとね。慣れるまでは艶っつやのカシミアだとかシルクだとかベルベットみたいなバンバンあたりの出る生地は避けた方が良いです。ほつれるのだとシャネルツイードとかのざっくり系ね。そんなん、私だって出来ればやりたくない(笑)
神経を使うポイントが増えすぎると混乱の元です。その点を踏まえて工程を見ていきましょう。

ここでは玉縁ボタンホールAとして、普通地で仕立てるスーツや軽めのコート向きの方法を解説します。
動画が3つありますが、準備編の後半部分に玉縁布の説明が入っているので準備編は4:20あたりからご覧ください。
また、動画全体をあわせると30分以上あります。必要な所だけ見たい場合は動画の右下部分にある「YouTube」をクリックしてYouTubeから視聴すると、動画説明欄からお好きな箇所にジャンプ出来ます。

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1.玉縁ボタンホールA/普通地向きの動画解説

玉縁ボタンホール 準備編
玉縁ボタンホールA 前編
玉縁ボタンホールA 後編

2.この方法が厚地に向いていない理由

この方法は、厚地を使ったコート等の仕立てには向いていません。ただでさえ厚みのある生地の縫い代の全てが同じ場所に集中してしまい、とても使用に耐えうる見た目になりません(笑)
メルトンのような極厚生地ともなると、見返し側の縫い代を折り込む事すら不可能です。厚地を使用する時は玉縁ボタンホールBの方法を選択してください。動画中で使用している中肉ウールくらいの生地はAでも大丈夫ですがBの方がよりすっきりとした仕上がりになります。

3.玉縁布を作る

予め玉縁布を作成しておきます。そもそもここでミシン位置が狙った幅になっていないと、予定通りの幅に完成しません。加えて縫い代が玉縁幅と同寸になっている事が条件です。下図を見ていただければわかると思いますが、玉縁布の縫い代は身頃縫い付け時のガイド代わりとして機能します。玉縁ホールAは手早く綺麗に縫えるのですが、それは正確に寸法が取れているという前提でのお話です。
※玉縁ホールを作成する時は、裁断や芯貼り準備が終わったらすぐ、もしくは既に身頃を縫い合わせてある場合は身頃と見返しを縫い合わせる前に作成します。

4.身頃に玉縁布を縫い付ける

玉縁布が出来たら身頃に縫い付けます。ここも位置取りを正確に行って下さい。準備編で説明した縫い印が役に立つはずです。縫い始めと縫い終わり、それから玉縁ホールの出来上がり幅をしっかり確認しましょう。次の工程の切込みばかりに注意が向きがちですが、ここまでで玉縁ホールAの要点は半分終了です。

5.切込みを入れて玉縁布を裏面に返す

さて。ここが皆さん苦労するところですね。身頃に切込みを入れます。切込みは①表から入れる②切れるハサミを使う③一度で切る。要点はこの3つです。
表から入れる理由は、その方が実際の縫い止まり位置を正確に把握出来るから。
ハサミが切れないのは論外として、一度で切る理由はその方が狙った位置まで鋭利に切れるから。
苦労するというよりは怖い。よね。でもビビると上手い事いかないようになってるの(^^;
これは、技術レベル云々という話じゃなくて心理的なもの。これだけは数をこなして度胸付けるしか解決方法は無いです。←度胸ある人はココを難なく通過しちゃうのよ(^^;
だから、初めて挑戦する人は必ず試し縫いしてね!失敗したらもう一個作ってみて!また失敗したらさらにもう一個。
最初に玉縁布を長~く作っておけば、試し縫いなんてほんの数分で一つ出来るから。
この切込みが苦手という方は、少し手間が増えるけど玉縁ホールBでやってみると良いかも。Aだと玉縁をよけながらカットしなきゃいけないので、見えにくくて切りにくい。Bだと玉縁を成形する前にカットしてしまうのでフラットな状態でハサミを入れられますよ。

6.玉縁を整え、両端の三角布にミシンをかける

三角布のミシンは、縫い印を目安にすると案外正確な位置にミシンをかけられます。試してみてください。身頃をめくると生地に厚みが出るので、押え金が干渉する場合はファスナー押さえなどに交換してみて下さい。ただ、ファスナー押さえだと安定感に欠けてミシンが外れやすくなったり進まなくなったりしますので、そういう時は目の細かい耐水ペーパーを押え金の下にかませるとうまく進んでくれます。
ここまで出来たら、身頃と見返しを縫い合わせてあらかた完成させます。仕上げのまつり作業などは残しておいて最後でも良いですし、ホール以外の全てを仕上げてしまっても構いません。

7.見返しを据えて玉縁布にまつりつける

最後の工程です。洋服も裏地や見返しが付いて、あらかた完成しているはずですね。ここでまた切込みを入れる作業です。ここは、玉縁を裏面に返す時の切込みとはちょっとだけ違います。角に向かってギリギリまで切込みを入れると、どうしてもまつっている間にほつれやすくなるので、ほんの僅か角度をずらします。これに関しては動画でご確認ください。
YouTubeチャンネルから動画を見ると、動画説明欄からピンポイントで目的の箇所までジャンプ出来ますので。
角がほつれるのが心配な方は、ちょこっとだけピケを乗せると比較的ほつれにくいかな。硬くなるのでほどほどに。

8.さいごに

ボタンホールに関しては、図解はやめました。そこまでやれば完全版になるんだろうけど時間がかかり過ぎる。ごめんなさい。その代わり、動画を見ながら縫い進めれば最後まで完成出来ると思います。
玉縁ボタンホールAは、Bに比べると工程数が少ないので圧倒的に手軽です。が、だがしかし。手軽=簡単に縫えるという意味ではない。ような・・・気がする・・・
もともと縫える人にとっては簡単お手軽時短っていうだけの話なんだと思う。
切込みなんかはBの方がハサミを入れやすいし。その分少し手間が増える。ただそれだけの事。手仕事好きでじっくり取り組みたい人はBの方が向いてます。

玉縁ホールに限らず、工程を省略した縫い方というのはこういうケースが多いと思うよ。これは人によって感じ方が違うから何とも言えないんだけど。
このブログは簡単ソーイングからもう一歩先のステップに進みたい、もしくは簡単ソーイング最高!だけどたまにはジャケットとか作ってみたいなぁという方に向けて解説を作っています。例えビギナーさんであっても、ただまっすぐ縫ってかぶるだけの洋服なんて別に要らん。という方は少なくない。そういった方に届いてほしい。
人によってやりやすいと感じる方法は千差万別ですし、早さを取るのか美しさを取るのかも自由です。だから解説を作る時は複数の選択肢から選べるようにしています。
自分にとって最適な方法を選んでね。

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