バイアステープの縫製トラブル6選/事例6

バイアステープのコツ

事例5に続いて事例6を解説します。

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事例6 裏バイアス始末の内カーブで身頃がつれてしまう

失敗例
成功例

裏バイアス始末は、襟や袖のない衣類の見返し代わりに多用されますが、その際に多くみられるケースです。2本目のステッチ(表から見えるステッチ)の際に身頃がつって全体に縫い縮みが起きています。これはバイアステープの寸法不足が原因です。寸法が不足している為に、全体的にバイアス布が起き上がってめくれたようになっています。
裏バイアスの仕上がり幅を基準としてカーブの起点から終点までの内寸と外寸の差寸が主な要因ですが、これについては事例4事例5で既に解説してありますのでそちらを参照してみて下さい。
ここでも実際の差寸がどれくらいになるのか、あたりをつけてみました。まずは下図画像をご覧ください。

事例4・5の時とは少し異なります。玉縁始末はテープを四つ折りにして仕上げますが、裏バイアス始末はテープを三つ折りにして仕上げるので、画像のように端から1/3程度を軽く折り曲げておいてテープの裁ち端を身頃に据えます。
赤線が1本目にミシンをかける位置、白線が2本目にミシンをかける位置です。バイアステープを据える場合は白線の位置(テープの折山位置)でテープ寸法が不足しないように据えていきます。そうすると裁ち端の位置ではかなりの寸法差が出てきます。
これもまた、チャコでところどころに合印を付けておいてから縫い合わせましょう。両折タイプのバイアステープを使用する場合は、予めカーブに合わせてしっかりとくせ取りをしてから使用します。

また、これはレアケースかとは思いますが、まれに通常の見返し始末のように縫い代に切込みを入れているケースも見受けられますが、切込みは必要ありません。バイアステープの寸法が不足して身頃が縫いつれてしまっているのを、「縫代がつかえているからつれてしまった」と判断したためではないかと思いますが、よほどの急カーブでない限りはテープ寸法の不足が要因です。
下図画像のように、身頃縫い代も地の目はバイアス状になっていますのでアイロンだけで充分馴染みます。

加えて、縫い代がつかえるようなケースの場合はカーブの形状と裏バイアス始末の仕上がり幅のバランスが悪い事も考えられます。例えばベビー服の衿ぐりや袖ぐりは急カーブを描いている場合がありますが、そこに仕上がり幅1.5㎝幅の裏バイアス始末をしたらどうなるでしょうか?とても切込み無しではこなしきれません。ですがこのような場合は切込みを入れるのではなく、まずは仕上がり幅を細くするという選択が良いでしょう。

裏バイアス始末をする時は見返し始末のように幅を広くしないのが通常です。カーブの形状に合わせて、7㎜から1㎝程でおさめればこのようなトラブルにあう事は無いでしょう。デザイン上の理由でどうしても幅広にする場合は裏バイアス始末ではなく見返し始末にする選択が賢明です。ご自身で製図をされる方はこういった要件も頭に入れておきましょう。
どうしても縫い代がこなしきれない場合、下記画像のようにアイロンで縫代を伸ばす場合もあります。

赤線が1本目のミシン=出来上がり線です。縫い合わせたバイアステープが直線になるくらいまで身頃を開いて、縫い代だけにアイロンをかけてほんの僅か伸ばします。ここで最も気を付けなければいけないのが、出来上がり線は絶対に伸ばさないという事です。バイアステープは元々が伸びやすい性質を持っている上に、カーブは身頃の地の目もバイアス状になっていますので簡単に寸法が伸びてしまいます。アイロンをかける場合は慎重に行ってください。
最後に、同じ内カーブでも玉縁始末の場合(事例5)と裏バイアス始末の場合では、バイアステープは異なる挙動を示します。玉縁始末の場合はテープを伸ばしながら縫い合わせますが裏バイアス始末の場合はテープをいせ込みながら縫い合わせます。両方の事例を良く見比べてみて下さい。

さいごに

バイアステープで良くある縫製トラブル事例を6つほどご紹介しました。いずれも良く見受けられるケースですが、どれも全てバイアステープの特性を理解していれば防ぐことが出来るものばかりです。綺麗に縫えなかった場合はなぜそうなったのかを良く検証して、面倒がらずに縫いなおしましょう。
曲線の場合、いせや伸ばしが適切だと、縫ったそばからバイアステープは勝手にくるんと丸まって適正位置におさまろうとします。(←この感覚を肌で身に付けるのが最終目標です)そのまま素直にくるみこめば美しい仕上がりになります。

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