作務衣を作っていて感じたこと

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おはようございます。
東北地方の方々、今朝は地震のアラームで目覚めた人も多いのでは?
かく言うわたくしも今朝はまんまと二度寝してしまってアラームで起こされました。
震災の記憶も新しいのに、やれ地震だのやれミサイルだのとなかなか落ち着かない2017年後半ですね。。。

 

それはさておき。今日は作務衣のお話です。
先日、裏地付き作務衣のお仕立てを2着ほどご依頼いただきました。作務衣ならさほど手間もかからないかな~なんて考えていたのですが。。。

ご依頼いただいたのは男性用と女性用の作務衣を1着ずつ。お手持ちの作務衣からサイズ感を変更したいとの事で現物もお借りしてきました。
お借りしたものがこちら↓



 

1枚目は既製品の男性用ですね。良く見るタイプというか、現代ではこれがスタンダードだと思います。
2、3枚目が女性用で、着物のお仕立て職人さんに依頼して縫ってもらったものだそうです。もんぺとのセットアップで、正統派の野良着スタイルですね。
良く洗い込まれていて肌触りが何とも言えない柔らかい風合いで、でも衿元がへたっていない。

この2着を並べてみて、むむぅぅ。。。としばし固まってしまいました。
明らかに仕立てが違うのです。この違いはなんだ???と思って少し調べてみみたら、和裁をやっている方が作る作務衣は衿の構造が着物と同じなんですね。だから接着芯を使った形跡が無いのに衿元に厚みが出せるのかと。

 
何を今更???と思われる方もいらっしゃるのでしょうけれど、私のように和裁の知識が殆ど無い者にとっては軽いカルチャーショックでした。
だって、和裁の仕立てで作られた作務衣を見たことがなかったのですから(^-^;

とは言っても、さんざん解いた着物を見てきたくせに今更ですね(笑)
着物というのは本当に長く大切に着るために作られているのだと思います。無駄な切り込みが一切無いのですよ。

 
洋服の場合は型紙に縫い代を付けてその通りに裁断しますが、この手法はとにかくハギレがたくさん出ます。高級な生地になればなるほどもったいない事になるわけです。
一方で着物は細長い反物を身頃や衿などのパーツ毎に切り分けますが、それ以外では身頃の襟ぐりの位置に9cm程の切り込みが1本ずつ入っているだけ。それ以外には一切の切り落とし箇所はありません。

だからこそ、洗い張りをすればまた1本の反物の状態に戻れる訳です。
着心地から考えると、衿ぐりなどは人体構造に合わせて切り取った方が良いのですが、着物の場合はそこの問題点を着付けで解消しているのだと思います。衿を抜いて着付けますよね。

 

こういう着物独特の構造があってこそ、リメイクがしやすいのです。柄行にもよりますが、無駄な切り込みがないというのはリメイクの型紙の配置がしやすいという事。
でもやっぱり切り刻むのはもったいないよなぁ。。。というジレンマは毎度の恒例行事みたいなものですね(笑)

 

 

だいぶ話が脱線してきちゃったので戻しましょう。
今回は和裁の仕立て方を少し参考にして、洋裁の作務衣を仕立てることに。特に衿の付近ですね。↓の画像のように縫い代を裁ち落とさずに全て衿の中に折り込んでいます。後衿ぐり付近は心材を入れるのではなく、表生地を重ねて厚みを出してあります。

ちょっとわかりにくいですが、手に持っているのが身頃の余分な縫い代として本来なら裁ち落とす部分。グリーンの裏布は裁ち落としてあります。裏布もそのまま残しても良いのですが今回は生地の都合です。
白い糸は洗い張りのはぎ合わせの糸。まだ取り除いていない状態です(^-^;
手の下にあるのが衿布。これで縫い代部分をくるみ込んでいきます。
こうやって仕立てたものがこちら↓



全体を見ると普通の作務衣ですが、衿元だけ見ると羽織のようです。ちょっとだけ自己満足してます (๑•̀ㅁ•́๑)✧
え?違いがわからない?いいんです。自己満足と自分の勉強ですから。

 


裏地にも羽裏を使用しているので、余計に羽織のように見えますね。
裏付きの仕立てについては、洋服の概念で作成しています。羽裏1着分では作務衣の上着の裏地には足りませんので、袖部分には別の羽裏を使用しました。
パンツの方は着物の裏地を使用しています。

 

 

女性用の作務衣は現在進行中。こちらも上下共に総裏で仕立てます。
今回のご依頼は、特に仕立てにこだわっていらした訳ではないのですが、この作務衣は来月新しくオープンする施設の開山祭礼でお客様をお迎えする時にお召しになるとのこと。
着物では改まりすぎるけれどもスーツでは動きにくいとの事でしたので、作業着としての作務衣と羽織の中間くらいの雰囲気を狙ってみました。
施設には茶室もあるのですが、羽裏の雰囲気も相まって、上着を脱いで裏が見えても大丈夫!しかも動きやすい♪
なかなか良い感じに仕上がったかな!

 

 

仕立ての仕事は毎回何かしらの気付きがあるものですが、今回もまた新しい気付きとヒントを頂きました。
お客様に恵まれているなぁと、つくづく感じます。本当にありがたい事ですね。

全然関係ない話ですが、先日とうとう一眼レフデビューしました♪そのお話はまた次回!
さて。皆さま今日も素敵な1日を。

 

 

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